オピニオン
中小人材サービス会社は、今年が“勝負の年”に!
~専門特化へ舵を切り、自社のアイデンティティを作る~

新年を迎え、これまで特集などでコメントを頂いている人材ビジネスコンサルタントの栃本浩昭氏を訪ねました。栃本氏は日頃より"人材サービス会社における戦略的経営"を提唱し、トップの意識改革と現場の人材育成の重要性を強調。今回は具体的な戦略ステップも含めたアドバイスを伺います。

株式会社人材ビジネス総合研究所 代表取締役 栃本浩昭さん

◆2012年、中小人材サービス会社が"本当に"すべきこととは何か?

株式会社人材ビジネス総合研究所 代表取締役 栃本浩昭さん

―― 5年後、10年後、中小の人材サービス会社は、
   どれだけ頑張っていることができるのでしょうか。

 業界の方々の多くが実感としていると思いますが、人材ビジネスを取り巻く環境は2008年以降大変厳しく、状況は改善されていません。そして、この状況は一過性のものではなく、今後も中長期的に抱えていかざるを得ない課題であります。

 私が日頃痛感しているのは、厳しい言い方になりますが、にもかかわらず「危機感の薄い人材サービス会社の経営者が少なくない」ということです。状況から判断しても、人材ビジネスは今年から確実に本格的なサバイバルレースに突入していくでしょう。結果として、環境変化に対応できない会社が氷河期の恐竜のごとく淘汰されてしまうのは自然の摂理とも言えます。なぜなら、人材サービス市場を大きく捉えた場合、大手の人材会社は、そのスケールメリットやブランド力を活かし、業界マーケットを席捲していく方向に、より拍車がかかってくるからです。

―― この潮流の中で、現状の戦略のままではかなりの苦戦を強いられます。
 私の答えはNO!です。ただし、そこには一定の成功条件が存在し、そのキーワードは「専門特化戦略」にあると考えます。理屈は簡単で、大手と同じ土俵・戦略上で戦えば、潤沢な資金や高い信用力などを持った巨像への優位性を揺るがすことは難く、あまり意味を持たないと言えるからです。すなわち、"広さ"を追求するビジネスで勝負するのではなく、より可能性のある"深さ"を追求するビジネスに活路を見い出すことが、中小人材サービス会社が大手と対等に戦う唯一の方法であると確信しています。

 しかし、ここへの到達には壁もあります。これまで旧態依然としたやり方をしてきた中小人材サービス会社のトップが、いきなり専門特化戦略に舵を切れるかどうか。そのためにはトップ自らの意識変革を行い、従来の人材ビジネスの常識はもはや通用しないという前提に立ち、これまでの成功体験を全てかなぐり捨て、ゼロベースで、"自分たちの目指すべき姿"を見つけることが必要になります。「何とかうまくやってこられた」「縮小や我慢で乗り切れそう」などの甘い考えは捨て、相当の覚悟を持ち、自社の資産(顧客層、スタッフ力等)を棚卸し、進む戦略を明確にして取り組んだ結果、ごく一部の中小人材サービス会社だけが生き残れる。そんな厳しい時代を、今、まさに迎えたのです。   次のページへ>>